寺内孝著『キリスト教の発生 イエスを超え、モーセを超え、神をも超えて』
本書では主に次の主張をしている。1.創世記は神を「全能の神」と規定するが実態は民族神である。2.律法(モーセ五書)は、全能神がシナイ山でモーセに授与した掟・定めとされるが、律法は民族法にすぎず、瑕疵が多く含まれる。3.紀元後現れたユダヤ教徒イエスは、律法に一家言を有したが律法の「廃止」ではなく「完成」を言った。彼は「メシア預言者」の罪状で十字架刑にされる。生前、彼は宇宙的破局を伴う終末到来を預言していたが実現していない。それでも彼は高貴高尚な説教と救済活動のために「メシア」(キリスト、救い主)であることに変わりはない。
4.イエス死の直後、ペテロたちは原始教会(初代教会)を興し、神殿に日参しながらイエス・キリスト(「メシアなるイエス」と同義)の名を広め、ユダヤ教団の弾圧を受ける。それを機に、教会に加入していたヘレニスト信徒たちは、イエスの命令に反してサマリアなどへ布教し、そこへペテロたちも合流する。5.ユダヤ教徒パウロは、天からのイエスの声に撃たれてヘレニスト信徒に回心する。6.その後パウロは、ペテロ宅を訪問し、ペテロたちをヘレニスト信徒に転生させる。7.教会は紀元48年頃、会議を開いて律法の事実上の廃棄を決議する。彼らはイエスを超え、モーセを超え、神をも超えたのだ。ヘレニスト信徒たちが大宗教改革を成就したのであり、簡易にはヘレニズムがヘブライズムを生んだと言ってよい。8.教会員たちはユダヤ戦争(66-70)を避けてローマ世界へ移動し、冷酷な迫害に耐えながらキリスト教の布教に努め、紀元392年、ローマ帝国で国教の地位を得る。すなわち、ヨーロッパ思想の2大源流、ヘレニズムとヘブライズムの確立である。9.他方、エルサレム神殿下のユダヤ教徒たちは律法に呪縛され、律法社会を崩そうとする宗主国ローマ帝国に無謀な独立戦争を仕掛ける。結果は神殿焼失、エルサレムの廃墟である。ユダヤ教徒は後132年、再びローマに蜂起して惨敗、亡国する。彼らの信じる「全能の神」の助けも救いもなくである。彼らが固執した律法主義の文化(性)を「民族的ヘブライズム」と呼べば、律法廃棄のヘブライ(ユダヤ)人のそれは「世界的ヘブライズム」と区別されてよい。キリスト教会は紀元後100年頃「旧約聖書」(創世記からマラキ書まで)の正典化を決めている。キリスト教は大きな虚構と矛盾の上に成り立っている。
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