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愛くるしい表情がたまらない、吹きガラスで作る「オバケコップ」

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ハンドメイド作家さんに作品の作り方をご紹介いただくこのコーナー。
今回は、吹きガラスドロップさんにご協力いただき、吹きガラスによる「オバケコップ」の作り方を解説いたします。(マルシェル運営)

用意する設備や道具について

用意する設備や道具について
<設備>
吹きガラスには大掛かりな設備が必要。個人でなかなか用意できないので、初心者は教室や体験工房へ行くのがおすすめ。
・るつぼ…とろとろに溶けたガラスが入っている。約1250℃。柔らかい水飴のような状態。
・だるま…ガラスが冷えると硬くなって形が変えられなくなるので、冷える度にこの中で温め直す。今回1つのコップを作るために温め直した回数は…なんと16回!
・徐冷炉…できあがったガラスはまだ600℃以上。急冷すると割れてしまうので、500℃の炉の中で一晩かけてゆっくりと冷ます。普段はガラスを入れるが、お昼時やおやつ時には、美味しいものが焼き上がるどでかいオーブンと化す。

<道具>
熱くて素手で直接触れないため、形を作るために色々と道具を使う。
・吹き竿…ストロー状の竿。先端にガラスを巻き取り、息を吹き込んで膨らましていく。
・ポンテ竿…吹かない作業の時に使う棒状の竿。
・紙リン…水で濡らした新聞紙(3枚を折りたたむ)。黒コゲだがこのコゲが重要。コゲ(カーボン)はガラスにくっつかず影響を与えないので、手で形を整えたい時に使う。火の粉が飛んだり煙が出たりとインパクト大!そのせいでガラス製作後は自分からBBQ後みたいな匂いがする。
・ハシ…ガラスをはさんでくびれを作ったり、平らな部分で底を作ったり、口を広げたり、形を整えたり、一番オールマイティに活躍する道具かもしれない。
・ピンサー…でかいピンセットみたいなもの。ガラスをつまみ出す時に使う。ポンテ竿を支える時も使う。
・ヤスリ…竿を付け替える時に使う。くくり目に水をつける、ゴリゴリやする、竿を叩く、など一連の動作をこれ1本で!
・色ガラス…金属などを溶かし色をつけたガラス。塊、粒、粉など色も形も様々。今回は黒の粒と赤の細い棒を使用。
 

ステップ① ガラスを吹いて「下玉(しただま)」を作る

ステップ① ガラスを吹いて「下玉(しただま)」を作る
①るつぼからガラスを巻き取る…竿を回転させながら、水飴状になったガラスを先端でくるくると巻き取る。作っている間ガラスが垂れないよう、ずっと回し続ける。
②紙リンをかける…作業ベンチに座り、ガラスが垂れないように前後に転がしながら、均等に膨らむように紙リンで形を整える。素手で紙リンを持つのでインパクト大。でも別に熱くない。
③吹く!…息を吹き込んで、ガラスを膨らませる。くるくる回しながら均等に、風船を膨らますようなイメージで吹く。
 

ステップ② もう一度ガラスを巻く

ステップ② もう一度ガラスを巻く
①もう一度ガラスを巻く…一回り大きく重くなるので、竿をバランスよく回す難易度がアップ。大きい作品を作るときは、ここまでの工程を繰り返し何度もガラスを巻く。
②紙リンをかける…紙リンできれいな形に整える。火の粉や煙がぶわ〜と出る。火の粉は熱いので腕カバーが活躍。
 

ステップ③ オバケの腕を作る

ステップ③ オバケの腕を作る
①腕をつまみ出す…オバケといえばうらめしや〜のポーズ!ピンサーでガラスをつまみ出し腕になる部分を作る。ガラスが柔らかくないとすべってつまめないので、温度管理が大事。
②温め直し…硬くなったらこまめに温め直す。温まるとガラスが垂れてくるので、ねじれないよう回すスピードを調節する。バランスを取りながら回すのは難しいが、慣れたら一休みタイムでもある。
 

ステップ④ コップのサイズになるまで大きくする

ステップ④ コップのサイズになるまで大きくする
①吹く!…コップのサイズになるまで膨らませる。底が抜けないよう気をつける。ガラスが大きく膨らむのは見ていて面白いが、強く吹きすぎると破裂する事もあるので注意。
②くくる…あとで切りはなすきっかけとなる「くびれ」を作る。竿にかぶると切り離せないので、竿から少し離れた場所をハシで挟み、少しずつ筋をつけていく。きれいにくくれると、切り離しが楽でうまくいく。
③温めて振る…温め直して柔らかい時に、下に向けると重力で下に伸びる。左右に振ることで遠心力も加わって、さらに伸びる。細長くしたい時は、バトンのようにぐるぐる回す事もある。
 

ステップ⑤ オバケの表情を作る

ステップ⑤ オバケの表情を作る
①顔を作る…ステップ④で「吹く」「伸ばす」「くくる」を繰り返し、作りたい大きさになったら、顔を作る。まずは目にしたい場所をハシの先で刺して凹みをつける。ガラスが柔らかければ、軽く押すだけでキュッと凹む。
②目を置く…黒い粒ガラスを凹みに置く。ガラスに手を近づけると熱いのでピンセットで素早く置くことがコツ。転がり落ちないよう気をつけながら、だるまで温め直すと熱で溶けてくっつく。
③口を作る…細い棒状のガラスを付けるため、ヤスリの角で長い凹みをつける。顔のバランスを良く見て、いい表情になりそうなところにつけるのがコツ。
④口を置く…ピンセットで赤の棒ガラスを置く。棒は、粒とは比べ物にならないくらい転がり落ちるので要注意。
⑤慎重にだるままで運ぶ…だるままで移動する最中や、だるまの中で回す時に棒ガラスが落ちることがあるので、何本か予備の棒ガラスを用意しておくと安心。
⑥しっぽをつまむ…温め直して、オバケのしっぽをつまむ。ふわふわ浮いているオバケのイメージで。
⑦底を作る…コップが倒れないよう、底を平らにする。下の丸いところがコップの底になるので、ハシの平らな部分を底に当てて回しながら軽く押す。
 

ステップ⑥ 支えの竿を付け替える

ステップ⑥ 支えの竿を付け替える
①竿を付け替える…底に別の竿(ポンテ竿)を付けてコップを支える。ポンテとは竿の先に少しだけガラスを巻いたもの。ガラスが柔らかいうちにコップの底に押しつけて溶着(溶けてくっつく)させる。底の中心につけないと歪んだコップになる。ズレた時は「それも味」と諦める。
②吹き竿から切り離す…水で濡らしたヤスリで、くくり部分にジューっと水をつけながらゴリゴリこすってひずみを入れる。吹き竿をコンッと軽く叩き、くくり部分で切り離す。底につけた方の竿にコップが付け替わり、今まで作っていた方向がひっくり返るので、実際に体験すると「おおお」という歓声が上がることも。
 

ステップ⑦ コップの形を作る

ステップ⑦ コップの形を作る
①口を開く…切り離したところがコップの口になる。最初はハシ1本しか入らないほどの小さな穴だが、温めて広げていき作りたいコップの形にする。
②少し開いてハシ2本入ったところ。高速で回転させると遠心力も加わって開きやすい。
③丸みを帯びたタル型、真っ直ぐ、広がった形など、好みの形に成形する。オバケの場合、あまり開くと顔も広がって人相が変わるので、可愛いところでやめておく。
 

ステップ⑧ 完成

ステップ⑧ 完成
①成形完成…口がきれいな円になっているか確認したら、一通りの作業は完了。この後ポンテ竿を本体から切り離す。竿を軽く叩くとポンテを付けたところが離れる。
②徐冷炉へ…急冷しないよう徐冷炉に入れてゆっくり冷まして、次の日に出来上がり。