『マルシェルコラム』作品づくりの刺激になる記事を配信中!

石ころのような一輪挿しをつくる陶作家・植田佳奈

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マルシェル1周年記念としてはじまりました、注目のクリエイターズインタビュー。

今回は、植田佳奈さんをご紹介します。主に、土から生まれる様々な質感の一輪挿しを制作されている植田さん。

シンプルな焼き方ながらも、研究しつくされた土の新しい質感が表現されている作風は植田さんならではのものです。

どうやって作ってるんだろう?!と近くに寄ってまじまじと観察してみたくなる作品。その制作背景を伺いました。(マルシェル運営)

石ころが持つ要素を意識した一輪挿し

石ころが持つ要素を意識した一輪挿し
様々な質感の一輪挿しをメインに制作しています。

コンセプトは、「石ころのような存在」であること。

石ころのような佇まいであり、石ころが出来上がっていく過程・時間をなぞること。豊かな質感があること。役割に余白があることを意識しています。

食器はあまり作っていません。

必然性を大事にし、無限にある土の質感を引き出す

必然性を大事にし、無限にある土の質感を引き出す
作品制作の際は、陶芸での新しい質感を生み出すことを試みています。

釉薬を使わず、偶然性よりもなるべく必然性を用いて操作し、完成させることが大事。

電気窯の酸化焼き締めで仕上げるというシンプルなスタイルですが、常に素材(粘土)の観察や研究をしていて、土だけでも表現できる質感は無限にあると感じています。

作ることが好きなので制作で苦労を感じたことはないと思っていましたが、作りすぎて体が痛くなることも……。

体力が作品に変換されていくようで面白いですが、なるべく体を休めるようにも心がけています。

きっかけは、自然物のような質感に変化した瞬間の感動

きっかけは、自然物のような質感に変化した瞬間の感動
なんとなく粘土を触って遊んでいて、先の尖った針のような道具で引っ掻いたり点を打ったりしていたときのこと。

その点と点の間を狭くしていったら点の集積ができ、ただのひとつの点から自然物のような質感に変化した瞬間、すごく感動しました。今の代表作ができたきっかけです。

それが結構面白いかも、と思って、その質感を石ころのようなかたまりの形全体に施しました。

物の全面に点を隈なくひとつひとつ打っていく地道な行為は、自然が自然物を作り出す工程に通ずるものがあるのではないかと思っています。例えば、石ころが長い時間かけて水の中を転がってまるくなっていくこと、蚕が細い糸で繭をつくること、少しずつ集めてきた材料で鳥が巣をつくること、など。

自然が作りだすものは全て無作為。そこが美しいなと思っていることのひとつなので、制作の中でそれをなぞるようなことがしたいです。

根底にある自然への思いが通じたときの嬉しさ

根底にある自然への思いが通じたときの嬉しさ
卒業制作の講評の際に「草原を思い起こさせる」とコメントをいただいたことがありました。

私の作品は具体的なモチーフはありません。もちろんその作品も、草原を意識して作ったわけではありません。

ただ、自然がやっているのと近いことを自分の手によってやりたいと思っていたので、草原を思い浮かべてもらえたということは、それに近いことができているのかもと思えてうれしかったです。

今後は、野焼き(土器の焼き方)で新しい作品を作りたい。あと、窯も作ってみたいです。
■Profile:
植田佳奈
大学で陶芸を学び、卒業後の2015年から陶作家として活動しています。

Instagram @uedakana_
web https://kanaueda.com//

イベントのおしらせ:
4/10からGINZASIX(4F)CIBONECASEにて個展depends on your handが開催されます。
https://www.cibone.com/news_exhibition/case37/

だいたい2ヶ月に1、2回くらいのペースでイベント出店やグループ展、個展など開催しています。